ゆとり荘

応募対象の概要

都心部では仮設住宅用地不足のため、災害で自宅を失った人は郊外の仮設に移り、従来の環境と切り離される。さらに仮設の供与期間が過ぎ公営住宅に移ることで、再びコミュニティの形成に迫られる。これら災害時の住居移行で発生する課題に対して、都心部にあらかじめ仮設を建設する” ゆとり” を内包した公営住宅を提案する。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

この公営住宅では現状「日常-災害時-災害後」の3 つのフェーズで途切れてしまう環境とコミュニティを空間で繋ぐ役割を持つ。日常時には人が居住する公営住宅に加えて仮設住宅を建設するための基礎と木の架構を用意しておき、公営住宅の住民や地域の人が利用できるオープンスペースとして開放する。災害時には普段オープンスペースを利用していた地域住民のうち自宅を失った人の仮設住宅が敷地内の基礎の部分に建てられ、元の住宅から近い場所での仮設生活を過ごすことができる。また仮設住宅の供与期間終了後は、仮設住宅が建てられていた場所にそのまま公営住宅が建設されることで元のコミュニティを維持したまま災害を乗り越えることができる。
日常時 日常時
災害時に仮設住宅を建設する場を確保しておき、日常時には住民や地域の人が憩うことができる公園のような空間にする。基礎に縁側が接続されており、公営住宅のリビングが拡張されたような空間にもなっている。災害時に仮設に入ることが想定される地域の人と公営住宅の住民の交流が生まれ、地域コミュニティが形成される。
非常時 非常時
災害時には自宅を失った人のために基礎と木の架構が用意された部分に仮設住宅が建てられる。あらかじめ基礎が既に打たれているため、仮設住宅の工期を短くすることができる。それによって避難生活の長期化を防ぎつつ、コミュニティと環境がほとんど変わらない場での仮設生活を提供することができる。