としまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)

応募対象の概要

としまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)は、造幣局東京支局の跡地の一部約1.7haを防災公園として開園した。都内有数の木密地域に隣接する貴重な財産を有効活用するため、UR都市機構と協定を締結し、防災公園と市街地を一体整備する「防災公園街区整備事業」を実施。整備には民間資金を活用したPark-PFI方式を導入した。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

区内最大の芝生広場を有し、利用者の憩いの場や週末のファーマーズマーケットを始めとする多彩なイベント空間として賑わいをもたらす。災害時は地域住民や帰宅困難者の一時避難場所となり、その後は救援物資の集積・集配所等として機能する。広場の中央部には区内の公園で唯一のヘリポートを整備すると共に、大型トラックによる救援物資の搬入、重症患者の搬送等を可能とするため、園路には耐圧路盤を整備した。木造住宅密集地域に面した公園東側には火災の延焼を防ぐ防火樹林帯を配置。他にも飲料用応急給水槽や防災井戸、非常用発電設備、非常用トイレ、防災倉庫を整備し、防災機能を強化。地域の賑わい空間と防災機能空間との両立が実現した。
日常時 日常時
芝生でくつろぐ人、週末のファーマーズマーケットで買い物をする人、カフェや可動式小型店舗で食事や会話を楽しむ人、虫取り網を片手に走り回る子ども、あらゆる世代が、広々とした屋外の憩いの空間を求め、区内外を問わず多くの来園者が訪れている。指定管理者による様々なイベントも実施、更なる賑わいが生まれている。
非常時 非常時
発災直後は帰宅困難者の一時避難場所となり、その後救援物資の集積・集配所等として機能する。非常用発電設備を備え、停電時でも非常用電源の確保および公園建物等への電力供給が可能。カフェや可動式小型店舗は、炊き出し等一時避難者への飲食物の提供などが可能である。常備するイベント用テントは災害用テントとなる。
カテゴリ
D
被害のレベル
04
プロブレムの種類
活用タイミング
汎用性評価
68 /100点
汎用性

広い芝生やカフェ、週末のマーケットなどにより、日常の公園としての魅力が評価され、平日のオフィスワーカーでも週末の家族連れでも安心して過ごせることから「Why」と「Who」の汎用性が高く評価されている。非常時には、カフェでの炊き出しや、災害用トイレとしても活用できるため「Why」が、通勤・通学時の帰宅困難者を受け入れるられることから「Who」が評価されている。

有効性評価
75 /100点
有効性

日常の寛げる場として、広い芝生やカフェなどが生活の質向上に貢献しており、「日常時QOL」が高く評価された。非常時においても、一時避難所、救援物資の集積・集配所、ヘリポートとしても活用でき、フレキシブルな実用性が「非常時QOL」を高めている。機能面・情緒面で空間としてのデザインが評価され、バランスのよい有効性評価となっている。公園間を巡回するイケバス(電源供給可能な電気バス)との連携により、地域全体での相乗効果を高めている。

総評

区内最大と言われる芝生広場は、地域の憩いの場であると同時に、多彩なイベント空間として賑わいをもたらす。災害時は帰宅困難者の一時避難場所となり、その後は救援物資の集積・集配所等として機能する。また、フラットでアクセスしやすい大きなスペースが、ヘリポートとしての活用、大型トラックでの救援物資搬入、重症患者の搬送等を可能にしている。日常時に多くの人が集い賑わうオープンな空間と非常時の防災機能空間を両立した計画が評価された。

http://総評
受賞者コメント
豊島区は日本一の高密都市でありながら、2014年には東京23区で唯一「消滅可能性都市」と指摘されました。このピンチをチャンスととらえ、子育てにやさしい誰もが安心して住み続けられるまちづくりを進めてきました。「としまみどりの防災公園」はみどりあふれる憩いの場として賑わっています。一方で災害時には区民の皆様の安全安心を守る様々な機能を持ち合わせている公園です。今回の受賞を契機として、豊島区はSDGs未来都市の理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、持続可能なまちづくりを推進して参ります。
豊島区長 高野 之夫
受賞者プロフィール
豊島区長 高野 之夫